東京都職員(公務員)から未経験でプログラマーに転身。そして、マーケターとして広告代理店とリクルートで活躍した経験を生かして起業。
株式会社FLAP 代表
株式会社Verde Marula 共同創業者 取締役COO
中塚奈美さん
東京都職員(公務員)から事業会社に転職し、プログラマー、マーケターに転身後に独立
――これまでのご経歴と現在のお仕事について教えていただけますか?
リクルートを昨年に退職して、現在は個人でマーケティングコンサルとして独立しました。それと同時にアフリカの現地の雇用を創出することも目的としたスキンケア商品の会社を現地の友人と一緒に作りました。 最初のキャリアは都庁勤務の公務員。その後、プログラマー、マーケティングを経験しました。あまりないキャリアだと思います。
公務員時代は、自分で考えて行動する事が許されない環境が私には合わなかったですね。自分で考えて何かしたい、という気持ちが強いタイプなので。 その後、最先端のインターネット分野へ。「i-mode」のサービスを見たときに、ケータイで世の中が変わると予感して、未経験でプログラマーになりました。ただ当時はまだどこかの企業が企画したものを作る仕事であり、自分がやりたい企画を実現するのが難しい。そこで広告代理店へ転職しました。ドコモと電通の子会社のD2Cで、i-menuの新規サイトプロデューサーを経験。営業企画やアドネットワーク事業企画などで約7年間在籍していました。 もともと起業したいという想いがあったので、そのスキルを身につける環境があるリクルートに転職し、直近まで事業企画をやっていました。
――もともと起業したかったのはなぜですか?
当時、勤めていたオフィスの近くに3分で出てくるパスタのお店があり、「これいいな!」と思ったんですよね。 忙しいとご飯って粗末になりがちですよね。働く人達に美味しくて、速くて、栄養があるものを提供するお店を全国チェーンで出したいと思ったのがきっかけでした。 その目標を持ちながら10年くらい頑張って、会社を退職して実現しようと思っていたら、ちょうどコロナになってしまって。思っていた状況と大きく変わってしまったんです。 どうしようか…と悩んでいたところ、たまたまme:Riseのキャンペーンがやっていて3回のコーチングを受けてみました。
後悔しないために、やりたい事は片っ端から全部やる。
――そのタイミングでme:Riseと出会ったのですね。コーチングを受けていかがでしたか?
とても良かったです。今後どうしようか悩んでいる最中に、高橋コーチのセッションを受けて、2つのアドバイスをいただきました。
1つ目は、「自分の得意領域をもう少し頑張ってみる」ということ。 これからチャレンジしようとしている飲食業界は経験がなく、強みを活かせる領域ではありません。 そこに飛び込むだけでなく、まずは自分の得意を活かすこと。つまり経験のあるマーケティングコンサルとして独立する事を決めました。アフリカでの事業は軌道に乗るまでまだ時間があるので、こちらでしっかり食べていくことが目的です。
2つ目は、やりたいことが沢山ありすぎて困るという私に「やりたいことは、片っ端から全部やったらいい!」と言っていただいた事です。 次の事業を見据えて飲食店・コンビニでのアルバイトなど、経験してみたいことが沢山ありましたが、このアドバイスを受けて、実際にケーキ屋のアルバイトに応募してみました。 面接も受けて「来週から来て」という話になったのですが、最終的にはお断りしてしまったのです。理由は職場やキッチンを自分の目で見た時に、「私のいる場所じゃない」と直感的に気づいたからでした。 これって実際に行動しなければ得られなかった感覚で、「本当はやりたかったのに‥」とずっと言い続けていたと思います。でも行動したことで後悔がなくなりました。 思えば、過去にワーキングホリデーに行きたかったけれど、両親の反対を受けて断念をした経験があって、その反動が今のエネルギーに繋がっているのかもしれません。 「後悔はしたくない。だから自分で直接やってみる。」という考えは、大切にしています。
「誰かのためになることをやりたい」という想いを持ち、アフリカでのビジネスに挑戦中
――これまでのキャリアで心がけている事はなんでしょうか?
若い頃は、「自分がやりたいことをやりたい」というのがポリシーでしたが、 最近は「誰かのためになることをやりたい」に変わってきています。 前職で新規事業の企画をやらせてもらったときに、はじめは「自分がやりたいことをやろう」と思ってやらせてもらっていたものが、クライアントからは、そんなサービス必要ない、と言われることがあって。 自分の中でも「本当に世の中に必要なのだろうか。誰かのためになるのだろうか。自分のエゴではないのだろうか。」と考えるようになりました。
そんなタイミングで縁あって2018年にアフリカ(モザンビーク)の日本人起業家である有坂夫妻への訪問を経験し、衝撃を受けました。 生まれてきた環境に抗えない世界。日本では考えられません。私はアフリカの社会課題解決に非常に興味を持ちましたが、一方で社会課題は日本の中にもあり、まずはそこからやらないといけないのかと悩んだこともありました。ある人に教わったのが、「気にせず自分がやりたい貢献をすればいいんだよ」と。そして自分は、アフリカの雇用創出に貢献できる事業をやりたいと思い、2019年はルワンダや南アフリカの商工会議所へ訪問するなど活動を始めていましたが、2020年はコロナで海外に行かれず進むべき道に悩んでいました。 その頃、2018年に訪問した私の尊敬するモザンビークの起業家、有坂夫妻から今回のスキンケア商品の会社を一緒に作らないかと誘っていただきました。 「マルーラオイル」という美容オイルをアフリカから輸入し、化粧品として販売するというものです。 マルラの木はアフリカに山のように生えていて、実の中にある種は活用されることなく廃棄されています。 そこで、そのマルラの種からオイルを採取する工場を立ち上げ、アフリカで雇用を創出するのが目的です。今は現地の契約工場を視察し準備を進めていますが、いずれ自社工場を作ることを目標に頑張っています。「誰かのためになることをやりたい」という想いに向けて前進しています。 そして、今回はタイミングがすごいと感じていて、これをやりたいと発言していなかったら、実現されていなかったんだろうなと思うと、外へ向けて発信することも大事だと感じました。
――サポーターセッションではどんなお話をされましたか?
サポーターセッションを利用される方は、きっと何かを迷っているか、もしくは、わからないから知りたいという気持ちだと思います。 知りたいということに対しては、答えられる事を包み隠さず話すようにしています。 また自分の経験を話す際には、価値観は人それぞれ違うので選択肢の一つだ、というスタンスでお伝えするようにしています。 私は多分、多くの人が選ばないであろう道を選んできたので、参考になるのか不安ですが(笑)
――サポーターでいることは、どんな価値がありますか?
セッションで自分の体験をお話しすると、当時の状況がフラッシュバックして、もう一回自分の道を考え直すきっかけになるので面白いですね。 今の地点を振り返って、「そのとき思っていたやりたい事が出来ているっけ?他にやりたい事はなかったっけ?」と考えたりします。 他者に自分の話をする機会はなかなかないので、良い時間になっています。
――サポーターセッションをどんな人に使ってほしいですか?
誰もが使ったらよいと思っています。こんな考え方があるんだ、と刺激になると思います。 実は私自身、「誰かのためになることをやりたい」と考え始めたのは、他者のストーリーを聞いた事がきっかけでした。 当時の同僚ですが、元々は私と同じく「自分がやりたいこと」を大事にしていた方でした。ただ、出産・キャリアチェンジを経たある時「自分がやりたいことよりも、誰かのサポートをする方が、自分には向いているとわかった。」と言っていて。その言葉を聞いたときに、私も本当はそちら側のタイプなのでは?と考え直し、自分の信念が180度変わってしまったんです。 自分の人生・価値観はこれだ、と強く思っている人こそ、他の人の話を聞いてみるとヒントが得られるかもしれませんね。