Coach Interview

コーチ紹介インタビュー

「もっと役に立てることがあったらいいのに」野球部のマネージャーとしての想いと同級生への人生初のコーチング経験がコーチとしての今に繋がっている

 

 

―― どのような子供時代を過ごされてきたんですか?

 

近所のお兄ちゃんお姉ちゃんたちと原っぱや池でいつも遊んでいましたね。

お兄ちゃんお姉ちゃんに先導してもらって色々なところで遊んでいたので、いつもワクワクして何かにチャレンジしていた感じですね。「これをしたらどうなるのだろう?」「やれるかな?やってしまおう!」「秘密基地を作ろう」など、思考で判断するのではなく、五感で遊んでいましたね(笑)。

 

 

―― その後、中学、高校とどのように歩まれていったのですか?

 

中学の時は、体育祭や合唱祭がとても盛んな学校だったので、3年間みんなで燃えていましたね。高校では野球部のマネージャーを3年間していました。

 

合唱祭や体育祭等みんなが一体になって何かを作っていくというのが好きだったので、応援団や実行委員をやっていました。特に印象的だったことは、中学校3年生の時の体育祭でクラス全員のムカデ競争をやったことです。30人以上いるので、全員がちゃんと集まることも難しく、なかなか練習がうまく進みませんでしたが、最終的には、一体感のあるチームが出来上がりました。本番のゴールする瞬間に向かって、みんなで一生懸命練習し、何度転んでも立ち上がり、最後まで成し遂げることができたことは嬉しかったです。

 

高校時代は野球部のマネージャーとして、選手やチーム全体の成長をサポートしていました。そうした中で、もっと自分がマネージャーとして役に立てることがあったらいいのにと考えるようになったんです。例えば、「テーピングが巻けるようになったらいいかな」「もっと選手の体のことがわかるよういなりたいな」と思うのですが、その頃はインターネットもなかったので、本で調べてみるものの、なかなか現場で生かすことができませんでした。その不完全燃焼の経験が今コーチをしていることに繋がっているのだと思います。

 

後になって思い出したことですが、違う高校に進学した野球部の同級生の相談に乗ったことが私の人生において始めて行ったコーチングでしたね。

彼は野球部でキャプテンをしていたのですが、私が高校で野球部のマネージャーをしていることを知り、甲子園を目指す県大会の準々決勝前に電話をかけてきたんです。「なぜだかわからないけど全然打てない。キャプテンなのに、チームに貢献できていない。どうしたらいいか。」という相談でした。その時のやりとりを今でも鮮明に覚えています。

 

私「どんな状態なの?」

彼「バッターボックスで何を打ったらいいのか迷うと打てなくなっている」

私「本当はどうしたいの?」

彼「本当は1球目を打ちたい」

私「どうしてみる?」

彼「明日は絶対に初球を打つ。」

 

というやりとりでした。次の日、彼の試合応援に行くと、彼はスターティングメンバ―から外されてしまっていましたが、試合の終盤、1点負けているところでピンチヒッターとして出場し、見事1球目を打って同点にしました。自分が決めたことをやりきることができた彼を素晴らしいなと心から思いましたね。

 

 

 


「やりたい道」じゃなくて「やれそうな道」を選んでいるのはすごくもったいない。先生や子供たちとの関わりで感じたことがコーチングを学ぶきっかけに

 

 

―― その後、コーチになるまではどのように歩まれたんですか?

 

子育てが一段落したころ、地域の施設を利用して子供たちのために小学生からお爺ちゃんお婆ちゃんまでが集まれる異世代交流の場を作ろうと、みんなで力を合わせてお化け屋敷を作る「青葉おばけやしきプロジェクト」を企画しました。企画を持って地域の学校に参加者を勧誘し行く中で、先生や子供たちと話す機会が増え、子供たちが進路を選ぶ時に『やりたい道』じゃなく、『やれそうな道』を選んでいるなと感じて、すごくもったいないと思ったんですよね。そのこともコーチングを学ぶきっかけの1つになっていると思います。(写真は橋本さんとお嬢様とのツーショット)

 

そのお化け屋敷の後、使用した500個ほどの大量の段ボールの片づけが想像していたよりもずっと早く終わったんです。年齢や価値観もバックグラウンドも全く違う人たちが色んなアイデアを持ち寄って試行錯誤しながら作業を進めていて、チームとして上手に機能し目標を達成できたというのは、何かあるのではとその時思ったんですね。そこで調べていくと、人間には集中しているフロー状態というものがあることや、フロー状態はチームにもあり、「チームフロー」と呼ぶことがわかりました。すぐに「これだ!」と思い、そこからチームフロー(現(株)アナザーヒストリー)というコーチングスクールで学び始めました(笑)

 

コーチングスクールに入学した当時、ちょうどロンドンオリンピックに向けてチャレンジしている選手をサポートするプロジェクトが立ち上がっていました。コーチングでスポーツもサポートできるということを知り、野球部のマネージャーをしていた時の「もっと選手のために役に立ちたかった」という不完全燃焼の思いが蘇ってきました。

 

 

―― そこからどのように仕事されるようになったのでしょうか?

 

コーチングを学びながら、コーチ仲間と3人で高校の部活動のサポートから始めたのが、仕事としてのコーチングが始まりです。

部活動のサポートをしていく中で、少しずつ自信をつけ、他のチームのサポートや、個人の選手のサポートをしていくようになり

「その人にとってどんな状態が一番パフォーマンスを発揮できるのか」

「その人にとってどんな状態がいい状態なのか」

「その人にとってどんなプランがいいプランなのか」

は、一人ひとり違うんだなということに改めて気づきました。

 

過去のストーリーも未来へのストーリーもそれぞれ違い、その中で

「どんな発見をしていくか」

「どんなことに気づいていくのか」

「どんな決意や覚悟をもっていくか」

一人一人違うからこそ『人って素晴らしいな』といつも感じています。

 

現在、キャリアコーチを始めてからもこれまで以上にそう思うようになりました。

スポーツでは個人競技やチーム競技、対戦競技や採点競技など人それぞれ違います。

キャリアにおいても、職業や職種、役職や役割などそれぞれです。その人にとって大切にしたいものや決意や覚悟などアスリートコーチと同様一人ひとりの違いや良さを改めて感じています。

 

よく「人の悩みを聞くのって大変ではないですか?」と聞かれますが、皆さんのストーリーや目標・目的や大切な価値観から私が学ばせてもらい、逆にエネルギーをもらっている感じです

 

 

―― 現在キャリアコーチもされていますが、アスリートコーチと違いはありますか?

 

キャリアコーチを始める前は、違いがあるかなと思っていました。

セッションの中で「人生を通して大切にしていきたいものは何か」が明確になってくると、その人にとって視野が深く広がり、原動力につながります。

「次のステージにチャレンジする」「チャレンジしてみたからこそ見える景色」「さらにその先を目指す行動力」などもアスリートサポート、キャリアサポートに共通することだと思いますね。

 

違いがあるとしたら、アスリートには期限があるところですかね。大会は日時が決まっているので、そこに向かってそれまでの期間でどう進化していくかを考えることがアスリートには必要です。

キャリアについては、目標に対して自分で期限を決めることもできます。期限を決めることも先延ばしすることも自分で選択できます。両者の大きな違いはそのくらいかなと思います。

 

 

―― 現在のお仕事について、コーチング以外も含めて教えてください。

 

スポーツメンタルコーチとして、チームや選手をサポートしています。また、キャリアコーチとしては、me:Riseで活動させていただいています。その他、スポーツメンタルコーチングスクールでクラスのサポートスタッフとして関わらせてもらっています。

 


アスリートコーチの経験はキャリアコーチにも活かせる。ユーザーファーストなところがme:Riseのよいところ

 

 

―― なぜme:Riseでキャリアコーチをしようと思ったのですか?

 

アスリートサポートでは、目指している目標に向かってパフォーマンスを高めて、いい心の状態でチャレンジし続けること、目標・目的を達成していくことを支援しています。その中で、学生においては学業との両立や、卒業後のキャリアをどうするか、社会人選手においてはデュアルキャリア・セカンドキャリアの課題も出てきます

例えば大学生の場合、大学を卒業後も競技を続けるのか、ここで競技を辞めるのか、続けるとしたらどんな形で競技を続けるのか、ということを考えなければなりません。そういった流れでアスリートサポートをする中でキャリアについて関わることが多くなってきました。

 

スポーツメンタルコーチとして、キャリアについてもしっかりサポートできれば、選手も競技に集中することができるし、様々な選択肢の探求をサポートしていくことは選手自身の安定にもつながると思うんです。そういった思いから、私自身キャリアコーチとしての経験ももっと積みたいと思う様になりました。逆に、スポーツメンタルコーチとしてキャリアに携わってきたことを、キャリアコーチとして生かせるのではと思っています。

 

 

―― 橋本さんから見たme:Riseの良さとは何ですか?

 

キャリアコーチングといっても、me:Riseでは「転職ありきで転職先どうしますか?」という問いではなく、転職も含めて人生全体をサポートしている感じが素敵だなと思いました。

 

他にも、me:Riseでは6回のコーチングセッションの基本の流れはありつつ、その人にとって扱いたい内容や必要なことに応じてコーチと共に組み立てるユーザーファーストなところが良いと思います。

 

 

―― コーチングでいつもこころがけていることはありますか?

 

クライアントさんが、頭や心から湧き出てきたことをそのまま躊躇なく話し出せる場であるよう、空気感を大事にしています。

私がクライアントさんの心の中を探索するのではなく、クライアントさんが自ら自分の心の中をより広くより深く自由に探索してもらい、色んなことを発見してもらえるようお手伝いするという立場に徹するようにしています。クライアントさんが探索しやすいように、五感や身体感覚やその方ならではの感覚なども活用しながらサポートしています。

 


【Profile】

橋本 幸恵

旭化成ホームズ(株)に勤務。その後、コーチング・コミュニケーション・チームビルディングを学ぶ。現在はスポーツメンタルコーチとして、指導者・チーム・選手の、モチベーションマネジメント・パフォーマンス向上・本番発揮力などをサポート。それらの経験を活かして企業研修も行っている。

 

個人の底力を引き出す身体感覚や五感も扱うコーチングを得意とする。また、アスリートのセカンドキャリアサポートの経験を活かしたアドバイスにも定評がある。

 

 (一社)フィールド・フロー認定スポーツメンタルコーチ、チームフロープロコーチ養成スクール認定コーチ