Coach Interview

コーチ紹介インタビュー

3社で20年間、人事畑を経験する中で、人を活かすことに喜びを実感

 

―― これまでのキャリアについて教えてください

 

サッポロビール(株)、(株)ファミリーマート、リコージャパン(株)の3社で20年間、ほぼ人事畑で仕事をしてきました。

 

新卒でサッポロビールに入社したのは、大学の体育会野球部時代に飲み会でビールを飲む習慣があったのですが、飲む側から提供する側になりたいと思ったからです。

 

当時、先輩同期後輩問わず、練習後、試合後によく飲みに行っていたんですよね 。最初はお酒が苦手だったのですが、段々とお酒も美味しく感じられてきて、お酒が入ると先輩、後輩、同期といろいろな深い話ができたり、仲がよくなったりするその場がすごく楽しくて。楽しく話しているうちに、モチベーションが上がったり、チームの結束も深まったりして、野球の練習にさらに身が入る。「飲み会ってすごくよいものだな」と感じて、その場を提供する側に移行したいなと思ったんです。

 

野球は「打率3割」とか「ホームラン何本」のように結果が数字に表れます。チームの順位も明確に出る。具体的な数値目標を立ててそれを達成していく喜びを大学時代に感じていたので、営業マンのように数字で結果がでる世界で戦いたいと思ったことも理由の1つでした。

 

しかし、入社後、想定外のことが2つありました。

ひとつは営業希望だったのですが、人事に配属になったこと。

もうひとつは数字を追っていくことが好きで得意だと自分では思っていたのですが、そうではない一面が見えてきたことです。

 

入社直後は業績が悪い時期で人員整理が始まるタイミングだったので、コストカットの仕事が多く、なかなか面白みを感じることができませんでした。先輩の中には、会社存続の使命感をもって人員カットの仕事に取り組まれている方もいたのですが、そんな風に取り組めない自分はダメな社員だと思うようになりました。

 

私自身は、人員や手当の削減を進めることがとても辛く抵抗感があって、人を活かす方が好きなんだなとか、数字よりも人との関係性が大事なのだなということが、初めてその時にわかりました。

 

そして、長時間労働がたたって心身ともに元気がなくなっていくような時でした。体調を崩して入院したときに、これからは、同じ人事の仕事でも、創造的で生産的な、採用や教育の仕事をしたいと思いました。

 

入院した時に自分よりもはるかに病状が重く、社会復帰が難しい方々との出会いも大きかったです。そういう方々が復帰できる会社や社会を作っていきたいと思ったんですよね。そして、障がい者手帳を持っている方々の雇用を担当させてもらえるということで、(株)ファミリーマートに転職を決めました。

 

その後、リコージャパン(株)も含めて、採用の仕事を11年間続けました。特に障がい者雇用の仕事は、やりがいを持ってできる仕事に出会えたという感覚でした。

採用に携わった社員の入社後に生き生きと活躍している姿を見られたり、「尾上さんがいたからこの会社に入りました」とおっしゃっていただけたり、採用に関わった方々と新橋に飲みに行って、横のつながりを作ることができるのもとても楽しくて。障がいのある方が自分を通じて出逢い、繋がりができ、みんなが幸せそうにしている姿を見て、自分も生き生きと働ける手ごたえを感じました。人とのつながりをきっかけに、仕事が充実していく、会社もよくなっていく、そんな「人が活きる」会社、社会に貢献できることが喜びになっていったのです。

 


 

「このままでよいのだろうか」と模索している中でコーチングに出会い、心の牢獄から一気に解放され人生が激変

 

―― カウンセリングやコーチングはどういった経緯で学ぼうと思われたのですか?

 

採用した方々の入社後フォロー面談でカウンセリングの技術が必要だと感じたので、カウンセリングを学び始め、産業カウンセラーの資格を取得しました。自分に合っていて学ぶことは楽しかったですし、自分の強みを活かせることがわかりました。

 

コーチングについては、一時期、障がい者雇用から離れた時期があったのですが、その時、「このままでよいのだろうか」と思い悩んだときに、コーチングの師匠となる大平信孝さんの本に出会いました。“大平さんご自身もコーチングに出会って人生が一変した”という本の内容に惹きこまれたことがきっかけです。本を読んで、初めて著者の方に会いたいと思いすぐにメルマガに登録。そしてグループコーチングを受けてみることにしました。個別のコーチングよりも安かったのですが、当時の自分からしたら高い金額なので正直悩みました。でも、その時思い切って申し込んだ自分を今は褒めてあげたいです(笑)

 

全5回のグループコーチングの2~3回目で、本当に激変したんです。

映画「ショーシャンクの空に」の主人公が牢獄から解放されて雨に打たれているシーンのような感覚ですね。わかります?思い込みという自分の心の牢獄に縛られていたところから一気に解放されて「自分は自由だ!自由に生きよう」という想いが湧いてきて。「どこかのタイミングで会社員を辞めて、自分の好きなことだけを仕事にしていこう」と思ったんです。その翌日から満員電車の景色もガラッと変わり、辛くなくなりました。むしろ周りにいる辛そうな顔をしているビジネスマンが全員自分のクライアントさんに見えてきたんです。すごく勝手なのですが笑。辛そうにしている、この人たちの力になりたいと思い、コーチングを学び始めました。

 

カウンセリングを学んでいましたけれど、「本当はどうなりたい?」のように未来を聞くことは学ばなかったんですよね。この「本当はどうなったらいい?」のような質問はコーチング独特だと思います。この質問の力が、コーチングの魅力であり、それを問うことで、それに向かって歩みだし、人生が大きく変わっていくところがカウンセリングとの大きな違いだと思いました。

 

自分が牢獄から出たような経験をしているので、同じ経験をしてもらいたいという気持ちでいます。

 

 


人生が激変する体験や結果にコミットし、毎回コーチング後にはほんのちょっとでもエネルギー値が上がることを目指している

 

 

―― そこから、どのようにプロとしての活動につながったのでしょうか?

 

コーチングを学びながら同時に、いろいろな方にお声をかけて、毎日のようにコーチングをしていきました。おそらくカウンセリングのスキルを持っていたからか、コーチングも機能していたのだと思います。皆さんに喜んでいただけて、ご家族や知り合いの方を紹介いただけるようになりました。

 

――これまで最も印象に残っているコーチングやクライアントさんはいらっしゃいますか?

 

みなさん激変されていくので、どの方も印象に残っているのですが、小さな行動がすごく大事だと思ったエピソードが特に印象に残っています。社長さんと社員さん1人の小さな会社の経営者の方で、社員の方との関係が悪くなり、仕事の成果も上がらなくなって、売上が下がっているという状況でした。社長が社員と話すと考えの違いからいつも口論になってしまうのです。社長が提案することに対して社員が反対し、それに対して社長もさらに反論する、ということを繰り返されていて、話が前に進まないお悩みを抱えていらっしゃいました。

クライアントである社長さんに「本当はどうなりたいですか?」と伺うと、“2人で一緒に仕事を盛りあげて、いい会社にしていきたい”ということでした。今でも覚えていますが、1回目のアクションが、“会社で、その社員の方が出社したときにきちんと挨拶をする”というものだったんです。すでに挨拶も気軽にできない関係になっていたんです。

 

2回目のコーチングの時には、挨拶が功を奏したのか、二人の間で会話が生まれるようになり、日常会話ができるくらいになって、仕事の会話をしてもそんなに険悪にならないようになってきたというのです。それでもすぐに建設的な話ができるようにはならなかったのですが、半年くらい作戦を立てながら一緒に試行錯誤していったところ、最終的には仕事の話で盛り上がって深夜まで飲みながら仕事の話で盛り上がるくらいまでになったんです。半年かかりましたが、本当に実現されたい世界を現実のものにできたということ、そして、その第一歩がとても小さなアクションだった、というのがとても印象に残っています。

 

――コーチングの中でどんな問いかけをよくしますか?

 

視野が狭くなって悩んでしまうことも多いので、少しでも視野が広がったり、視座が高まる質問をしようと心がけています。具体的には「本当はどうありたいか?」ということはよく聞いていますね。

 

「本当はどうなったらいい?」と理想の状態を聞く質問や、「本当はどうしたいか?」と行動を聞く質問もよいのですが、物事が複雑に絡み合って悩みが深いようなときに、「どうなったらいいか」とか、「どうしたいか」と伺うことは、ご本人を苦しめてしまう場合があります。外部要因も大きく関係してきますし。「どうなったらいい?」というのは、自分の力だけで実現できないこともあるんですよね。

 

「どうありたい?」というのは大変な状況でも、何か出てくることが多いんです。そこから紐解かれて、「どうしたい」や「どうなったらいい」ということが出て来たりするので、「どうありたいか」とこ本人のあり方を伺うことはよくしています。

 

――コーチングをするときに心掛けていることはありますか?

 

クライアントさんは時間とお金をかけてきてくださるので、クライアントさんが望む世界をつかんでいただきたいですし、人生が激変する体験や結果にコミットしたいと思っています。

 

その為に心がけていることは、結果そのものを追っていくとコーチもクライアントさんも苦しんでしまって、最終的に到達したいゴールにたどり着くことが難しくなってしまうので、矛盾しているようですが、結果は追わず、毎回のコーチングを終えた時にクライアントさんがほんの少しでもエネルギー値が上がるということを小さな目標として大切にしています。

 

複雑な悩みを抱えている人も多く、すぐにどうこうできる問題でもない中で、結果ばかりに目を向けると苦しくなってしまうんですよね。でも、コーチングでちょっと元気になれたら、クライアントさんは元々結果を掴む力を持っていらっしゃるので、自然とそこに向かって歩んでいけるようになります。ですので、コーチングが終わった後、「気が楽になりました」とか、「ちょっと元気になりました」みたいな、ほんの少しでもエネルギー値が上がるということを毎回目指しています。

 

――現在はコーチングも含めてどんなお仕事をされているのか教えていただけますか?

 

コーチング、カウンセリングなどの相談業と講師業をしています。講師業では、企業研修や大学のキャリア講座、高校や専門学校でのキャリア授業を担当しています。

 

相談業で個々に、さまざまなお悩みを伺っているので、学生さん、会社員によくあるお悩みや陥りやすい事例とそれに対する手の打ち方が、ある程度蓄積されていっています。それらが、講師として情報提供するときに役立つことも多いです。幅広い年齢層の方々と接点があり、それこそ、若い学生さんのお悩みと管理職クラスの会社員の方のお悩みに触れることにより、双方の日頃考えていることや大事にしたいことが把握できるようになりました。そういう意味で両方の仕事がお互いに活かし合えているかなと思っています。

 

――me:Riseでコーチをしようと思った理由は何ですか?

 

me:Riseはキャリア・仕事・働くということを切り口として、クライアントさんにご自身の生き方を考えていただいたり、いい人生を送る支援をしているところが、とても自分に合っていると思いました。

 

――尾上さんからご覧になったme:Riseの良さとは何ですか?

 

二つあります。一つ目は、自分に合っていると思ったところでもあるのですが、真正面に真正直にコーチングやキャリアに向き合っていることが、所属しているコーチの方々からもホームページのメッセージからも伝わってくるところです。二つ目は、クライアントさん目線で、すごくハイスペックなコーチのコーチングをそこまで高額でない金額で受けられるということは他社にない強みだと思っています。

 



【Profile】

尾上 俊介

サッポロビール、ファミリーマート、リコージャパンにて20年間、人事採用・教育、障がい者雇用に従事。採用から入社後の定着支援まで携わる中で、社員が成果発揮できるようコーチング・カウンセリングを学ぶ。関わった方々が生き生き働く姿が手応えとなり、コーチとして独立。現在は、会社員・学生のコーチ・カウンセラー、企業研修・大学キャリア講師として活動中。自身のマイナス経験から築いた「違いや弱みは力になる。どんな自分もどんな仲間も、その人らしく活かす方法」を用いたコーチングを実施している。

 

AICF認定コーチ、国家資格キャリア・コンサルタント、産業カウンセラー、うつ・クライシス専門カウンセラー、心理危機介入カウンセラー、障害者職業生活相談員