企業が求める社員の「自信」を高めるコーチング事例~テーマ:「できない」呪縛からの解放~

 

me:Riseキャリアコーチ

高橋 基成

目次

1. 企業が求める社員の「自信」とは?

2. コーチングによって社員の自信を高めることができる3つの理由

3. コーチング事例

4. まとめ

 

 

1. 企業が求める社員の「自信」とは?

 

求人検索Indeedが提供するキャリア開発や転職に役立つ関する情報「キャリアガイド」が、多くの採用企業が注目する「優秀な社員に共通する9つの資質と特徴」を紹介しています。

 

1 献身的な姿勢

2 自信

3 信頼性

4 チームワーク力

5 自主性

6 リーダーシップ

7 対人スキルとコミュニケーション能力

8 自己認識力

9 誠実さ

 

確かに頷けるものばかりで、一つ一つが独立しているわけではなく、相関関係にあると言えるかもしれません。

 

社員一人一人が「自信」「自主性」「チームワーク力」をもって業務にあたることで、その生産性や業務管理能力は高まっていく。さらに、「献身的な姿勢」「誠実さ」を常に自然体で維持することで、周囲からの「信頼性」を得て、社内外のステークホルダーとの「コミュニケーション能力」によって成果を上げることに繋がっていく。そして、得られた成果が更なる「自信」につながっていく。そのような好循環スパイラルや相乗効果が期待されているようです。

 

9つの資質の中で、2つ目に挙げられている「自信」に着目したいと思います。

 

「自信」とは読んで字のごとく「自分自身を信じる」ことですが、自分の何をどのように信じるかという点において、「自信」の定義は様々かと思います。青木仁志氏は、著書「一生折れない自信のつくり方」で「自信とは、その人の、その人自身に対する肯定的な解釈や思い込みである」と定義しています。

 

上司や同僚などの他人による評価は、社員の「自信」の「ある・なし」に大きな影響を与えることでしょう。

 

一方で、社員自身が、自分に起こった経験、自分自身の能力、同僚や取引先とのコミュニケーション、会社への貢献度などを「どのように解釈しているか」によって、その人のもつ自信の「大きさ」は異なってくるのかもしれません。

 

 

2. コーチングによって社員の自信を高めることができる3つの理由

 

先述の青木仁志氏の著書には、自信をつくるための様々な要素が紹介されています。その要素は、実はコーチがクライアントをサポートする際に大切にしている視点とも重なり合う部分が多く存在しています。そこで、コーチングを用いることで社員の自信を高めることができる理由を3つ挙げてみたいと思います。

 

1. 自分自身の可能性を多角的に見つける力が養われる

 

コーチは、クライアントの人生を多角的にみて感じながら、その人の中にある答え探しのお手伝いをします。例えば、過去・未来・現在と様々な「時間軸」を臨場・俯瞰したりするための質問をすることがあります。過去の忘れていた突破経験や成功体験を思い出すことで、「自分はこんなに素晴らしい経験をしていた」と自信が蘇ってくる人もいます。また、目の前の業務に追われていた人が、ご自身の人生を少し遠くから俯瞰して見つめ直すことで、今の業務への目的意識に変化が起こることもあります。

 

<著書の中で挙げられている自信をつくるための要素>

・物事を長期的に捉える視点をもつ

・数々の突破体験・成功体験をもつ

 

 

2. その人にしかない人生の目的に気づくことができる

 

コーチは、クライアントが感じている感情や感覚にも意識を向けていきます。何か違和感を感じていたり、悩みや選択の迷いが生じていたりする時は、その人が心から望んでいる目的や目標を見失っていることもあります。その人の、その人らしい人生の目的や働く目的を再確認してみることで、自分の選択や決断にも勇気や自信ももてるようになっていくこともあります。

 

<著書の中で挙げられている自信をつくるための要素>

・理想の人生を思い描く力を発揮する

・人生の迷いを断ち切る目的・目標を設定する

・目的に生きればマイナスの思い込みはなくなる

 

3. 現状から更に良くなる行動を促進する

 

自分自身の可能性や目的が見つかっていくと、自然とどんどん行動したくなるものですが、小さな失敗やちょっとした停滞感を感じるとその歩みが遅くなってしまうことがあります。コーチは、そんな状況でもその人の「できる」「やりたい」と思える小さな一歩を一緒に見つけ、背中を押す存在でもあります。小さなアクションだったとしても、その積み重ねはやがて大きな自信となっていくはずです。

 

<著書の中で挙げられている自信をつくるための要素>

・まずできること、コントロールできることに焦点を当てる

・やるべきことは今すぐに実行する

・小さな成功を積み上げて大きな自信にする

 

 

3. コーチング事例

 

コーチングによって、クライアント自身が「自信が高まった」と感じることができた事例をご紹介します。

 

コーチングで取り上げたテーマは、「自分に自信がもてないから、次のキャリアアップへの行動がなかなか取れない」「行動しても長続きしないのでなんとかしたい」

 

現状を具体的にお聞きしていくと、「資格取得に向けた勉強が続けられない」「昔からコツコツ積み重ねることが苦手で自分はできない」「締切ぎりぎりにならないとできない」「こんな自分をダメだと思ってしまう」と、自分は「できない」ことが多くて、自信を無くしている状態でした。

 

とはいえ、ちょっと視点を変えてみると「短時間なら集中できる」「ギリギリでも達成できる力が自分にはあると思っている」とも捉えることができます。

 

自分の特徴を活かした勉強方法や環境を見つけていければ良いですし、そんなに悲観することはなかったと、自分への解釈に変化が起こっていきました。

 

セッションの中で、自分の「できないこと」から「できること」に意識を向けたことで、自分自身への解釈(思い込み)が少しずつ変化していくと、何か心から喜びが湧き上がってくるような感覚を得られたようです。

 

意識が変わると、行動にも変化が起こってきました。後回しにしがちだった業務をすぐにこなすようになるなど、日々の業務の中でも、周りに流されずに行動改善につながってきていることをクライアントが実感していくことで、自分への自信が高まりました。

 

 

4. まとめ

 

「自信」を手にいれるには、様々なチャレンジや体験から、その人自身が成長や成果を実感することが大切です。自分らしい自信を手に入れる・高める方法を見つけ、自身を肯定的に受け入れ、未来につながる行動を更に促進させていくために、コーチングの活用は、社員一人一人の自信を育てるための効果的な手段の一つと言えるでしょう。

 

 

 

出典

1 Indeedキャリアガイド「優秀な社員に共通する9の資質と特徴」Indeed キャリアガイド編集部

2 青木仁志. 一生折れない自信のつくり方 アチーブメント出版

 


【本記事の執筆者】

 

高橋 基成(紹介インタビュー≫

 

 

 旧太陽信用金庫(現 城北信用金庫)にて業務に従事。その後、一念発起して特別支援学校の教師に転職し14年間勤務。現在新たなステージへの挑戦するため、幅広い世代のスポーツ選手のメンタルコーチに転職。2017年よりデフサッカー・フットサル女子日本代表のメンタルサポートを担当。

 

自身も経験した大幅なキャリアチェンジに必要な自分軸の発見と、強みを引き出すコーチングには定評がある。 

 

(一社)フィールド・フロー認定スポーツメンタルコーチ、全米NLP協会マスタープラクティショナー、7つの習慣Ⓡ実践会認定ファシリテーター、教員免許(小学校・中学校・高校・特別支援学校)